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中心静脈NBA ベット(TPN)

(監修) 久留米大学医学部医療安全管理部教授 田中芳明先生

中心静脈NBA ベットの選択基準

静脈NBA ベットには、腕などの末梢(まっしょう)静脈から投与する「末梢静脈NBA ベット(PPN)」と、心臓に近い太い血管である中心静脈から投与する「中心静脈NBA ベット(TPN)」があります。食事ができない期間が1週間~10日までの場合はPPNが行われ、それ以上の長期間にわたると予想される場合はTPNが選択されます。

中心静脈NBA ベット TPN( Total Parenteral Nutrition トータル パレンテラル ニュートリション
末梢静脈NBA ベット PPN( Peripheral Parenteral Nutrition ペリフェラル パレンテラル ニュートリション
  • 末梢静脈NBA ベット(PPN)食べられない期間が1週間~10日まで。中心静脈NBA ベット(TPN)食べられない期間が1週間以上
  • 高カロリー輸液は、IVH( Intravenous Hyperalimentation イントラヴィーナス ハイパーアリメンテーション )などとも呼ばれますが、hyperalimentationは「多量のNBA ベットを与える」という意味から、現在はIVHよりもTPNの方が適切であるという意見が多く、国際的にもTPNを用いる方向になっています。

中心静脈NBA ベットとは

TPNは高カロリー輸液とも呼ばれ、高濃度のNBA ベット輸液を中心静脈から投与することで、エネルギーをはじめ、からだに必要なNBA ベット素を補給することができます。NBA ベット状態の悪い患者さんや、長期間(1週間以上)経口摂取ができない患者さんに用いられます。通常は、糖質、アミノ酸、脂質、電解質(Na, K, Cl, Mg, Ca, P)、微量元素およびビタミンの1日必要量を中心静脈から24時間かけて投与します。

中心NBA ベットカテーテルの留置

投与ルートとなるカテーテルは、一般的に鎖骨下NBA ベットから挿入し、先端部を上大NBA ベット(中心NBA ベット)に留置します。上大NBA ベットは心臓に近い太い血管で、血液量が多くて血流も速いため、糖濃度の高い輸液も投与できます。鎖骨下NBA ベットは血管が比較的太く、カテーテルの血管内走行距離も短いので、血栓の形成が少なくなります。

鎖骨下NBA ベット上大NBA ベット(中心NBA ベット)とカテーテル適正位置の図

中心静脈NBA ベットの管理例

TPNは、急に投与を開始したり、急にやめたりしてはいけません。通常は慣らし期間(導入期)が必要で、血糖値などをみながら2~3日かけて徐々に投与量を上げていきます。まず糖濃度の低い開始液(TPN基本液1号)から始め、その後維持液(TPN基本液2号)を用いて1日必要量を投与します。

離脱期も同様に、投与量を徐々に落としていきます。急にTPNを中止すると、糖質の補給がなくなり、低血糖を起こすことがあります。TPN離脱後は、末梢静脈NBA ベットや経腸NBA ベットを併用しながら、経口NBA ベットへと移行していきます。

導入期・維持期・離脱期における中心静脈NBA ベットの管理例についての表

在宅中心静脈NBA ベット(HPN)

在宅中心静脈NBA ベットは、HPN(Home Parenteral Nutrition)と呼ばれ、患者さんの家庭での治療や社会復帰を可能にするNBA ベット療法です。入院して病気の治療を行う必要がなく、状態が安定している患者さんや、通院が困難で在宅でのNBA ベット療法が必要になった患者さんに施行します。

中心静脈NBA ベット(TPN)のQ&A

上大NBA ベット(中心NBA ベット)内に投与するのはなぜでしょうか。
高カロリー輸液は、末梢から投与する輸液に比べ3~6倍も高濃度であるため、末梢NBA ベットから投与すると血管痛やNBA ベット炎を起こし、やがて血管が閉塞します。心臓に近い上大NBA ベットは太くて血流が多く、高濃度の高カロリー輸液を投与しても瞬時に多量の血液で薄められ、血管や血球に対する影響が少なくなります。
24時間かけて投与するのはなぜでしょうか。
TPNは1日に必要なNBA ベット素を投与するため、糖濃度の高い液となります。高濃度の糖液を急速に投与すると、高血糖になる恐れがあります。投与したNBA ベット素が十分代謝されるように、通常24時間かけて一定の速度で投与します。