NBAベッティング管理の方法は、「静脈NBAベッティング」と「経腸NBAベッティング（EN）」の二つに大別されます。消化管機能があり、かつ消化管が安全に使用できる場合は、生理的な投与経路である経腸NBAベッティングが第1選択となります。静脈NBAベッティングは、原則として経腸NBAベッティングが不可能か、経腸NBAベッティングを一時中止したほうが治療上有用な場合に行います。

経腸NBAベッティング（EN）とは

経腸NBAベッティング（EN）は、からだに必要な糖質、タンパク質、脂質、電解質、ビタミンおよび微量元素などを経腸的に投与する方法で、NBAベッティング素を口から補給する「経口法」と、チューブを用いて投与する「経管NBAベッティング法」があります。

使用するNBAベッティング剤の選択にあたっては、腸管の機能、特にNBAベッティング素の消化・吸収能と腸管の安静度について十分に留意する必要があります。通常、腸管機能が低下している患者さんには消化態NBAベッティング剤が用いられ、機能の回復に合わせて半消化態NBAベッティング剤、流動食、ミキサー食と、より食事に近いものが用いられます。

経腸NBAベッティング剤は医薬品扱いで、組成により成分NBAベッティング剤、消化態NBAベッティング剤、半消化態NBAベッティング剤に分類されます。消化態NBAベッティング剤は、窒素源として消化を必要としないアミノ酸、ジ・トリペプチドを配合しています。窒素源としてアミノ酸のみを配合した製剤を、成分NBAベッティング剤といいます。糖質としてデキストリンを配合しています。

半消化態NBAベッティング剤は、窒素源としてカゼインや大豆タンパク、糖質としてデキストリンを配合しています。なお、濃厚流動食は食品扱いで、糖質として、でんぷんやデキストリン、窒素源としてカゼインや大豆タンパクが配合されています。ペプチドやアミノ酸を配合した消化態タイプの製品もあります。

経腸NBAベッティング法は、投与経路により経口NBAベッティングと経管NBAベッティングに分けられます。経管NBAベッティングには、鼻からカテーテルを胃あるいは十二指腸、空腸まで挿入する経鼻法と、頚部（けいぶ）や腹部に造った小さな穴（瘻孔＜ろうこう＞）にカテーテルを通してNBAベッティング剤を注入する経瘻孔法があります。通常、短期間のNBAベッティング管理には経鼻法が、長期（4週間以上を目安）にわたると予想される場合は経瘻孔法が選択されます。

NBAベッティング分を主に固形物として摂取する私たちにとっては、全てのNBAベッティング分を液体で摂取することは非生理的であり、管理の面でもさまざまな課題があります。このため、近年では半固形化された製剤を利用したり、寒天や増粘剤などで液体NBAベッティング剤をゲル化する半固形化NBAベッティング法が普及しています。

在宅経腸NBAベッティングは、HEN（Home Enteral Nutrition）と呼ばれ、患者さんの家庭での治療や社会復帰を可能にするNBAベッティング療法です。入院して病気の治療を行う必要がなく、状態が安定している患者さんや、通院が困難で在宅でのNBAベッティング療法が必要になった患者さんに施行されます。