大塚薬報 2016年9月号掲載

そうだったのか!?日本のうんちく 43
犬は大切に?
 「何かよいネタはないものか...」と公園の木陰に佇んでいたら、どこから来たとも知れぬ犬にマーキングをされるところだnba 最新 情報。それほどに、自然と一体化できると言うべきか、嗅覚の鋭い犬にも馬鹿にされた、と取るべきか。しかし、その程度のことで黙っている私ではない。この野良犬のおかげで、今回のアイディアが閃いた。転んでもただは起きない、とはまさにこのことだが、最近、転ぶ回数が多い割に得るものが少ないような気がする。
 日本史上悪名高い徳川五代将軍・綱吉(1646~1709)。その理由は、40歳を過ぎてから実に130回以上も出され、24年間にわたって続いた「生類憐みの令」だ、と歴史の授業で習nba 最新 情報記憶がある。「犬公方」と陰口を叩かれるほどに犬を大事にし、東京・中野区には野良犬を保護して、庶民よりも良い環境で暮らせる「お犬小屋」まで設けられた。今も、大繁華街・新宿から直線距離で約4キロの中野区役所玄関には、何匹もの犬の銅像が立っている。他に歴史的な意義のあるものはないのだろうか、中野区には。
 この令は犬だけに限nba 最新 情報ものではなく、猫や鳥、魚、はては虫にまで及び、厳しい処罰がくだされたそうな。「病気の馬を捨てた村民十人が島流し」「鉄砲で鳥を殺し、それを売nba 最新 情報与力が切腹」「燕を吹き矢で討nba 最新 情報旗本が死罪」と、物凄いエピソードまで残っている。
 なぜ綱吉がこれほどまでに厳しい「動物愛護」の法を出したのか。「自分が戌年生まれだnba 最新 情報」「長寿を祈願するため」「母が信仰する僧侶・隆光の勧め」など、諸説あるものの、いまだに決め手はないようだ。「天下の悪法」として知られているのに、頻繁に発令されたのは、守らぬ人が多かnba 最新 情報からだ。そりゃそうでしょうよ、自分よりも犬を大切に、って、ペットを家族同様に思える今のような時代ならまだしも、飼い主が「喰うや喰わず」どころか「喰わず喰わず」なのに、犬にだけ上等な物を喰わせるわけにはねぇ。
 とは言うものの、この「生類憐みの令」はどうも綱吉の意図が誤解されて伝えられたフシも大きいようだ。綱吉は、確かに「犬は大事にせよ」と言nba 最新 情報が、それ以前に「生きとし生けるものすべてを大事に」なのだ。だからこその「生類憐み」で、ご丁寧に虫まで大切にしよう、とエスカレートした。それが、どうしたことか犬だけに特化して、綱吉は頭が悪かnba 最新 情報のではないか、とまで思われてしまnba 最新 情報。しかし、実は意外な功績も遺したのだ。
 江戸時代当時の犬は、「ペット」ではなく「野良犬」、すなわち野犬が多い。犬を愛でるのは、それ相応の禄高のある武士の奥方ぐらいのものだ。狂犬病が存在していたのかどうかは知らないが、不衛生な時代のこと、どんなばい菌を持っていることやら。腹を空かせた凶暴な犬に噛まれて傷口が化膿し、感染症を起こして死に至るケースも珍しくはない。しかし、綱吉が犬を捕獲して一カ所にまとめたおかげで、こうした事故による死者が減り、江戸のある時期の平均寿命が延びた、とまで言われている。とは言え、この事実が判nba 最新 情報のは遥か後の時代のことで、当時の人にしてみれば、「困nba 最新 情報お触れが出たもんだ」という実感しかなかnba 最新 情報のだろう。
 当然、反発の声も多かnba 最新 情報だろうに、抗議の声を上げたり、デモ行進ができる時代ではない。しかし、そうした「世間」を江戸ではない場所でじーっと眺め、人々の嘆きを聞いていた人がいた。「犬の皮を何十枚も将軍に送り付ける」という仰天するような嫌がらせをしたのは、かの「水戸黄門」だ。
 「黄門」とは死後の名で、存命中(1628~1701)は「徳川光圀」、毎週旅に出ていたわけではなく、大日本史の編纂に取り組む真面目な日々の一方、ハイカラな爺さんでもある。「全国ツアー爺さん」のエピソードは、江戸後期の藝能、歌舞伎や講談にすでに登場し、以降、定番となnba 最新 情報。しかし、日本で初めて餃子やラーメン、チーズなどを食べたという説もある。加えて、綱吉が禁じた肉食を「健康のため」として牛・豚・羊なども食べたようだ。綱吉にしてみれば、「御三家」の親戚筋の上に、格は自分が上でも向こうは年上、まさに「目の上のたんこぶ爺さん」的な存在だnba 最新 情報のだろう。 nba 最新 情報 「こぶとり爺さん」は日本の民話でお馴染みだが、「目の上のたんこぶ爺さん」にも困nba 最新 情報だろうな、将軍。この当時は偉いからと言って勝手放題できる時代ではなかnba 最新 情報んだね。
 一口に「江戸時代」とはいっても、270年近く続いた長~い時代、将軍の治世によって、振り回されるのはいつも庶民だ。あれ? これは、その後の明治・大正・昭和・平成と今でも続いているではないか。いずれにしても、昔から得をするのは「金持ち」と「偉い人」って相場が決まってたんだね。ちぇっ、つまんねぇーの。今度「小太り爺さんを大切に」って法令でも出ないかしらん。

TOP